人間のアイデンティティーは、一語なり一文で表現できるものではない
人間は、人生における重大な変化をいくつも編み込んで、勝手に自己を美化して一つの伝統の様に物語を作ってしまう。やりたい放題である。人間は元々未熟であることを覚知し続ける必要が大である。人間は自らの無知を認めた時に、初めて科学革命を実現できるのである。
イスラム教にも不変のDNAなどない。イスラム教とは、イスラム教徒がどのように考えるか次第なのである。勿論、イスラムに対立している西洋文明もそうである。
シリアの内戦、イスラム国の台頭、ブレグジット騒動、EUの不安定な状態は、西洋文明とイスラム文明の衝突に起因していると考えるのは一面的であって、正しいものではない。
現代人が未熟であることの覚知を忘れ、特に自らエリートと思っている人達が小児病化していることが多すぎる。そのことが両文明の衝突の原因である。
現在の衝突は、異質の文明のそれというより、むしろ単一の文明内の兄弟喧嘩に近い。極めて近視眼的なものから生じているのである。
人間の歴史を見ると、人間の部族は時とともに融合して、次第に大きな集団を形成する傾向がある。
又、経済では、その機動力の源泉である分業は、誰もが単一の市場を共有していかなければ成り立たない。従って、グローバル経済に修正なり補正はあっても、反対する政策は正当ではない。
今や世界における人類は、単一の混乱したやかましいグローバル文明の成果なのである。それを原点としてふまえて、一歩を踏み出すしかないのである。
令和3年1月15日
廣田 稔