活動レポート

TOMOATSU GODAI PROJECT

今回の選挙戦で思うこと

今回の選挙の争点は何もなかった。与野党共に気前の良い分配政策を語り、本来は一体となるべき財源の論争は全くしなかった。分配だけでは経済は成長しない。成長の成果を配分する好循環を生むやり方を探求する必要がある。やり方を考えるには1970年代にノーベル経済学賞を受賞したサイモン・クズネッツとW・アーサールイスの「成長と不平等に関する理論」が誤りであったことを認識し、2013年にトマ・ピケティーが唱えた「資本主義下の長期的な分配のダイナミクス」を理解する必要がある。

ピケティは誰がいくら稼いでいるかだけではなく、誰が何を所有しているかに着目し家計を二つに分類した。資産(賃料や配当や利子を生む土地・家・金融資産など)を所有する家計と賃金しか生まない労働力のみを所有する家計の二つだ。そして経済を分析し今の資本主義体制が資本から生まれる利益の成長が経済全体の成長のスピードを上回り、富の集中(危険なレベルの不平等)に向かっている。そしてその不平等によって民主的な社会の基礎である能力主義的な価値感は根底から崩されると述べている。(ドーナツ経済学、ケイト・ラワーズP194)

岸田文雄首相氏から今回の選挙戦の当初「新しい資本主義」という言葉を聞いた時、私はそのトマ・ピケティの話を思い出し期待した。しかし同首相からは、一時浮上した金融所得課税の是非の問題が出なかった。野党はその点を批判さえしなかった。そこで自民党にたいして「疑似政権交代による権力維持が自己自的化して政策の検証修正はどうなっているのか?」と批判し争点になすべきであったのにしなかった。何故そうしなかったのかの理由について野党は正直に国民の前で弁明されたい。

新しい経済では所得の分配だけではなく富と時間と勢力の分配を変える必要がある。

野党は何故に構造とバランスを考慮した上で財源論、原発政策、再生エネ導入、中国北朝鮮の脅威にどう対応するのかの具体論を出さなかったのか?そうでないと、野党は存立の意味がないし、日本の再生はない。

共産党にあってもプーチンと習近平に直に面談しマルクスの共産党宣言には「万国の労働者、団結せよ」とあることを再認識し、いかに労働者を守って、地球を守るかについての共同政策を策定し発言されることを求める。

成長の果実の配分する好循環をめぐって与野党は「成長と分配」の論議に入るべきであるが。今回の衆院選では話題にすらならなかった。

1985年から2009年までの四半世紀の間、成長の原資ともいえる研究開発費を日本は減らし続けた。日本はレクイティ(資本)の側より金融機関や年金、デット(負債)の側のインセンティブが強いので将来のビジョンを描くのが不得手である。

若者よ,我々年寄りを助けてくれ。若者は「社会の幸福を何より左右するのは国の富ではなく国内の不平等であること」「平等な社会ほど社会が富んでいても貧しくても健全で幸せであること」を知っている事だから。

21世紀の大きな課題は、綺麗な空気、水、穏やかな気候、それに生物の多様性を守る活気に満ちた新しい部門を育てることで、市場の囲い込みと外部化を防ぎ、地球を守り、人類共通の遺産の果実を今よりもっと平等に分け合うことである。

令和3年11月6日 廣田 稔

「五代友厚(仮題)」映画製作委員会

  • 製作者:廣田 稔  製作委員会プロデューサー:鈴木 トシ子
  • 映画製作委員会:五代友厚プロジェクト、鹿児島テレビ放送、奈良新聞社、クリエイターズユニオン、廣田稔法律事務所
  • 出資者:製作委員(個人、団体多数
  • 製作会社:クリエイターズユニオン
  • 後援:大阪商工会議所、鹿児島商工会議所、大阪天満宮、公益財団法人 大阪観光局(予定)