第1回映画「北辰斜にさすところ」「天外者」の2大映画上映会&トークセッションに
寄せて(「廣田先生マイク OFF事件」第1回5月17日(土)より)
5月17日、大阪弁護士会館で映画「北辰斜にさすところ」「天外者」の2大映画上映会&トークセッションを行った。当日は生憎の雨模様だったが、参加したおおよそ70人が映画に見入った。ライバル関係にあった戦前の旧制高等学校の野球試合からのしかかる戦争の重い記憶と経験を軸に時代を超える友情、家族、因縁、反戦等を描いた「北辰斜にさすところ」、幕末から明治維新にかけ大阪経済を立て直し日本経済の礎を築いた五代友厚の生涯を描いた「天外者」。青春、友情の永遠、平和への願い、評価を恐れず進む大切……懐かしくもあり、それでいて新鮮、心が熱くなる。参加者の若き心震える機会となった。
上映後のトークセッションでは、開催中の万博のテーマ「いのち輝く」をテーマに上記2作品の製作総指揮を務めた廣田稔氏、前田原本町長で(一社)みらい政策研究所代表理事の森章浩氏、大阪大学元理事で歴史家の正木裕氏が、会場を交えて思いを論じあった。
冒頭、廣田製作総指揮のマイクのスイッチが入っておらず(わざとOFFにしていた
訳ではないが……)、廣田氏のお話はしばしば高度難解であり、OFFの状態のままで進行しようかとも考えたが、それも無用の思惑で一人語り続ける廣田製作総指揮のある種、自分事として捉える姿勢に、コーディネーターの頭はいつものように真っ白に。
万博―未来への期待を絵に描いた表層とは裏腹に、“命輝く”との深層を考える機会になり切っていないのではないか?つまり、単なる技術や革新、創造への興味のみである。他方、世界では戦争、紛争は絶えず、世界に命輝く万博と命輝かない戦争状態にあるこの二律背反を問題提起出来たことは良かった。しかし、いかにこの状態を脱却するかの答えは導けていない。寛容無き時代、自国優先の政策が横行する中、従前の価値や基準ではもはや歯止めがかからない状態になりつつある。その先に何があるのか……自分事として考え、行動する時に来ている。
会の終盤、司会者は廣田氏が来場者へ向けた「宗教的な成人」と記された配布資料に触れた。資料には内田樹・和田和弘著『下り坂のニッポン幸福論』(青幻舎出版)から引用した①~⑤の内容があったが、司会者は上映会、トークセッションのまとめとして、②と④を読み上げた。
②仏教で戒められる三大煩悩は、怒り、貪り、無智です。
④広大な理想とささやかな気づかいの間でどっちつかずに悶々とするというのが人間の「当たり前」だと思うんです。その隘路を生き抜けというのが仏教の魅力です。
世界には多様な人々がいる。この言葉においても多様な受け取り方があるだろう。その中で、命輝くとはどういうことか。今こそ、世界の平和を祈り、答えなき答えを共に語り合ってはどうか。
上映会場は、弁護士会館の講演会場を借り、急場で上映会場にしたもの。鈴木
トシ子副代表はじめ主催の五代友厚プロジェクトのメンバーが9時から同プロジェク
トの展示ブースを設営、会場設営や受付対応など皆で協力してやり遂げた。そして昼
食時には、あんばん100個など気の利いた差し入れ。映画とともに会場が一体になる
ひと時でもあった。命輝くに少し近い光景と感じた。
映画を、ステージトークを、そして会場の一体感に触れに、あんぱんかじりに6月21日、お越し下さい。
令和7年6月5日 森 田 育 浩